「わたしのマンスリー日記」 第3回 「壁のないコンサート」
3.11 チャリティーコンサート
3月11日東京サントリーホールで行われた第10回「3.11 全音楽界による音楽会 チャリティーコンサート」に参加しました。外出は昨年10月に岐阜まで遠征して以来2度目です。このチャリティーコンサートはあの東日本大震災の直後の2011月6月、三枝成彰、林真理子、湯川れい子さんなど音楽関係者たちの呼び掛けで始まったのですが、今年で10回目を迎えました。毎回わが国を代表するトップアーティストに協力いただくのですが、出演に際してはすべてノーギャラ。チケット代は0円、ただし入場の際に「1万円以上」の寄付金を申し受けるという仕組みです。寄付金は東日本大震災の震災孤児の支援の資金に充てられています。ちなみに今年の来場者は1,641名、寄付金総額は19,773,928円に上ったそうです。ユニークなのは会場の入り口にバケツを持ったボランティア数名が並んで来場者から寄付を募るという光景です。「バケツ募金隊」と呼んでいますが、今年の隊員は作詞家の東海林良さん、ニュースキャスターの安藤優子さん、発起人の一人で音楽評論家の湯川れい子さん、放送作家でコラムニストの山田美保子さん(以上写真向かって左から)、それに私でした。実際にはこれに発起人の作曲家・三枝成彰さん、作家の林真理子さんが加わって募金が行われました。
トロンボーンの思い出
チャリティーコンサートの案内には「ジャンルを越えた音楽のチカラを!」というコピーが掲げられていました。私には当初この「音楽のチカラ」という言葉がピンときませんでした。音楽ってどんなチカラを持ってるの?――などと半信半疑な思いがあったことは事実です。それは「プロ」のチカラを知らなかったからでした。そのことをコンサートで嫌というほど知らされました。私が音楽好きになったのは中学校の音楽の授業との出会いでした。昔も昔、大昔の話です。平賀先生という男性教師の授業が<ただ>好きでした。作曲の真似事をしたこともありますし、挙句の果てはブラスバンドに入りトロンボーンを担当することになりました。入部して間もなくのことでした。市のブラスバンドの大会に出場することになり、私も壇上に上がることになりましたが、その時先生に言われたのが次の一言――。
「谷川、トロンボーンを動かしてもいいが、音は出さなくていい」
まだトロンボーンに慣れていない私を慮(おもんばか)っての言葉でした。今にして思えば良き時代でした。かくして私は一回も音を出すことなく演奏は終わったのでした(笑)。